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アドブルーの代用にションベン?ディーゼル車への使用は危険な理由3つ

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「アドブルーが切れたけど、すぐに買えない…」そんなとき、ネットやSNSで「尿(ションベン)でも代用できる」という話を目にしたことはありませんか?
しかし、そのまま信じて車に入れてしまうのは非常に危険です。

ディーゼル車に使用されるアドブルー(AdBlue)は、厳格な品質規格が定められている尿素水であり、ただの水や尿では代用できません。
この記事では、「なぜアドブルーに尿を使ってはいけないのか?」その危険な理由を3つに分けてわかりやすく解説します。

実際に代用品を使用して起こる故障の事例や、メーカー保証の対象外になるリスク、さらには環境規制違反になる可能性など、知っておくべき重要な情報をまとめました。

正しい知識を持って、あなたの愛車を守りましょう。

目次

アドブルーとは何か?基本を知る

「アドブルーって名前は聞くけど、実際どんなもの?」という方も多いのではないでしょうか。
まずは、アドブルーの成分や役割、そしてなぜディーゼル車にとって不可欠なのかをわかりやすく解説します。

アドブルー(AdBlue/DEF・AUS32)の成分と役割

アドブルーとは、32.5%の高純度尿素と67.5%の純水を混合して作られた無色透明の液体で、正式名称は「ディーゼル排出液(DEF:Diesel Exhaust Fluid)」と呼ばれます。

欧州では「AUS32」とも表記されることがあります。

この液体は、ディーゼル車に搭載されているSRC(選択触媒還元)システムに噴射され、排気中の有害なNOx(窒素酸化物)を水と窒素に分解・無害化する役割を持っています。
アドブルーは環境対策のために欠かせない存在なのです。

なぜディーゼル車で使用が義務付けられているか?

アドブルーの使用は、環境規制(EURO6、ポスト新長期規制など)を満たすために法律で義務化されており、特にトラックやバスを含む大型ディーゼル車では欠かせません。

アドブルーがなければNOxの浄化ができなくなるため、エンジンの出力制限や始動不可になる設計となっている車種もあります。つまり、アドブルーは単なる補助液ではなく、車の運行自体に関わる重要な要素なのです。

このような背景から、「尿や水で代用してもいいのでは?」という考えは非常に危険であると言えます。

「尿を代わりに入れる」という噂はなぜ出るのか?

ネット上では「アドブルーの代わりに尿でもいける」といった情報が一部で見られます。
一見もっともらしく感じるこの噂ですが、なぜそんな話が出てきたのでしょうか?その背景と根拠について検証してみましょう。

尿に含まれる尿素(ウレア:urea)の話

アドブルーの主成分が「尿素(urea)」であることから、「人間の尿にも尿素が含まれているなら代用できるのでは?」という発想が一部で広まっています。

たしかに人間の尿には尿素が含まれていますが、その濃度は約2〜5%程度とアドブルーの32.5%には遠く及びません。さらに、尿にはアンモニア、塩分、たんぱく質、その他不純物が多く含まれており、アドブルーとして使用するにはまったく適していません。

純度の高い尿素と純水のみで構成されるアドブルーとは別物であり、同じ「尿素水」といっても品質・成分は雲泥の差です。

ネット掲示板・フォーラムでの実例とその信憑性

「尿を入れても走った」「アドブルー高いから代用品を使った」といった投稿は、主にインターネット掲示板や動画サイト、一部SNSなどで散見されます。

しかしこれらの情報の多くは冗談・ネタ・誤情報であることが多く、実際に真似したことで車両が故障したというトラブルも報告されています。

特に海外フォーラムでは「尿を使って警告灯が消えなかった」「SCRシステムが破損して高額修理になった」といった深刻な事例も存在し、一時的に動いても長期的なダメージは避けられないことが明らかになっています。

ネット上の情報を鵜呑みにせず、正しい知識に基づいた対応を心がけることが大切です。

尿や水・その他の代用品を使うリスクと問題点

アドブルーの代わりに尿や水を入れる行為は、思った以上に多くのリスクを伴います。
ここでは、実際に起こりうる技術的なトラブルや法的な問題点、さらに高額な修理に発展した事例まで紹介します。

技術的な問題:純度・汚染・SCRシステム(選択触媒還元装置)への影響

SCRシステムは非常に繊細な技術で構成されており、アドブルーの品質がシステムの正常動作に直結します。

尿や水道水などを代用品として使用すると、尿素濃度の不足・金属やバクテリアなどの不純物の混入により、噴射ノズルの詰まりやセンサーの誤作動を引き起こす恐れがあります。

また、不適切な液体を使用すると化学反応が正常に起こらず、排出ガスが浄化されないため、環境基準を満たせなくなるだけでなく、車両にも深刻なダメージを与えることになります。

法律・規制・保証上の問題:代用品使用=違法・メーカー保証対象外のリスク

アドブルーはISO 22241という国際規格で製造・流通が厳密に管理されており、この規格を満たさない液体を使用した場合、排ガス規制に違反する可能性があります。

また、自動車メーカー各社の取扱説明書にも「純正アドブルー以外を使用した場合は保証対象外」と明記されていることが多く、代用品による故障は自己責任かつ高額な修理費用が発生するリスクがあります。

たとえ一時的に警告が消えても、それは解決ではなくさらなるトラブルの前兆かもしれません。

実際に起きているトラブル・故障の例(警告灯・エンジン出力制限)

代用品を使用したことで起こる代表的なトラブルには、以下のようなものがあります。
「AdBlue補充」の警告灯が消えない 走行中にエンジン出力が制限される エンジンが始動しなくなる(起動ロック) SRCシステムや触媒の交換が必要になる(数十万円の修理費) 特に輸入車や商用ディーゼル車では、SCR関連の部品交換が高額になる傾向があるため、安易な代用は非常にリスキーです。

目先の出費を浮かせるための代用品が、結果として何倍もの出費や車両停止を招く可能性があることを忘れてはいけません。

正しい代替液/互換製品はあるか?

「代用品がダメなら、他に使える安全な製品はないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この章では、ISO規格に基づいた合法で信頼できる互換製品の見分け方と選び方について解説します。

ISO 22241規格とは何か?純正アドブルーと違う市販DEFの比較

アドブルーは単なる尿素水ではなく、ISO 22241という国際規格を満たした高純度の製品です。
この規格では、尿素の純度、粒径、重金属やその他不純物の含有量、水質(純水であること)など、厳しい基準が設けられています。

市販されているDEF(ディーゼル排出液)の中にも、このISO 22241を取得している製品があります。
これらは必ずしも「アドブルー」というブランド名ではないものの、規格さえ満たしていれば問題なく使用できます。

ただし、安価なノーブランド品や偽物も存在するため、購入時には規格認証マークや製造元の情報をしっかり確認することが大切です。

合法で安全な代用品・互換製品の条件と選び方

アドブルーの正しい代替製品を選ぶには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • ISO 22241準拠の表示があること
  • 密封されたパッケージで販売されていること
  • 有名メーカーや信頼できる販売店で購入すること
  • 純正品と同じ成分(尿素32.5%、純水67.5%)であること

一部のホームセンターやネット通販では、アドブルー互換液(AdBlue Equivalent)として販売されている製品もあります。これらもISO規格に適合していれば使用可能ですが、粗悪品には注意が必要です。

また、農業用・工業用の尿素水は似て非なるものであり、車両用には絶対に使ってはいけません。
安全かつ合法に車を維持するためには、品質の確認を怠らず、信頼性の高い製品を選びましょう。

万が一「尿を入れてしまった」「代用品を入れたかも」という場合の対処法

「間違えて入れてしまったかも…」と気づいたとき、どう対応すればいいのでしょうか?
最悪の事態を防ぐために、今すぐ取るべき行動と今後の予防策をお伝えします。

すぐにやるべきこと(専門業者へ相談、リセット等)

もし誤って尿や不明な液体をアドブルータンクに入れてしまった場合、まずはエンジンを始動せず、すぐに使用を中止してください。

その後は以下の手順で対応しましょう。

  1. ディーラーまたは整備工場にすぐ連絡し、状況を説明する
  2. アドブルータンクの洗浄とSCRシステムの点検・清掃を依頼
  3. 必要に応じてセンサー類や触媒の交換も検討
  4. 故障コードのリセット(専用診断機が必要)

自己判断で運転を続けると、エンジン警告灯が点灯したり出力制限モードに入る恐れがあり、修理費がさらに高額になる可能性もあります。

今後使うべき正規品・維持メンテナンスのポイント

今後は、以下のポイントを意識してアドブルーの管理を行いましょう。

  • 純正またはISO 22241準拠の製品を使用する
  • 定期的に残量をチェックし、早めに補充
  • 使用期限を過ぎた古いアドブルーは使わない
  • 保管場所は高温・直射日光を避ける(品質劣化を防ぐ)

また、アドブルーを補充する際は、ホースや注ぎ口にゴミや水分が入らないよう清潔に扱うことも大切です。
車を長持ちさせ、余計な出費を避けるためにも、「本物のアドブルー」を正しく使う意識を持ちましょう。

まとめ|安易な代用は危険!安全・合法に維持するために

アドブルーは、ディーゼル車にとって単なる消耗品ではなく、排気ガスを無害化し、環境基準をクリアするための重要な役割を担っています。

一部で広まっている「尿を代用する」という情報は、科学的にも法律的にもまったく根拠がなく、非常に危険です。
不純物による車両トラブルや保証対象外、さらには環境規制違反にもつながりかねません。

アドブルーが手に入らない場合は、焦って代用品に頼るのではなく、正規品や規格に適合した互換製品を正しく選び、安全に使用することが最も重要です。

「少しでもコストを抑えたい」「今すぐ動かしたい」という気持ちからくる代用は、結果的に高額な修理費や車両停止という大きな代償を招くことがあります。

あなたの愛車と安全なドライブのために、正しい知識と判断でアドブルーを取り扱いましょう。

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