こちらの記事では、自動車のミッションマウントに関する症状、交換費用、交換時期、整備士としての体験談も参考に、自動車オーナーの皆さんにとって、実際に役立つ身近な情報を紹介します。
目次
ミッションマウントとは
ミッションマウントとは、自動車のトランスミッションを文字通り設置する部品で、トランスミッションはエンジンと一体になっているので、エンジンから発生してトランスミッションへ伝わった振動が、次はトランスミッションからボディへと伝わる際に和らげて、ボディへと振動を伝えない役割をする、ゴムと鉄のステーで構成される重要な部品です。
また、オートマチックトランスミッションの場合だと、レンジ選択の際の、ショックの大小にも大きく関わってきますし、マニュアルトランスミッションの場合だと、スムーズな変速にも関わってくる重要な部品です。
ミッションマウントが劣化時の症状は
ミッションマウントが劣化時の症状はいくつか有りますが、一番体感できるのは「ボディ全体の振動」ではないでしょうか。
酷い場合ですと、ドアやハンドルに振動が伝わり、ビビることにより振動音が聞こえる位に大きい場合があります。
また、前輪駆動、後輪駆動等の駆動方式によって、具体的にはエンジンの縦置き、もしくは横置きの場合で、配置方式が変わりますので当然、トランスミッションの向きや構成も変わってきます。
よって発生する症状も幾つか種類が有りますので、それぞれのケースについての私が実際に出会った事のある症状を簡単に紹介します。
前輪駆動の場合だと、先ほど紹介したエンジンの振動がトランスミッションに伝わり、ボディへと伝わってくる場合の他に、レンジ選択の時の[ガゴッ][バキッ]という音と、それに伴う大きな振動。
パーキングレンジでは振動を感じないが、リバースレンジで突然大きな振動を感じる。
また、ドライブレンジに入れている時で信号待ちなど、ブレーキを踏んで停止している間だけ振動が大きくなる、レンジ変更がし難い。
こういったケースが多い印象です。
次に後輪駆動の場合だと、レンジ選択時の振動、変速ショックが大きかったり、変速し難いといった症状が多いですが、特に劣化が深刻な場合、トランスミッションから後輪へ駆動力を伝えるプロペラシャフトという部品が有りますが、このトランスミッションとプロペラシャフトのジョイント(接続)部分に、本来ならミッションマウントが受け止める負荷がダイレクトに掛かる場合があります。
この場合だと最悪、ジョイント部分が負荷に負けて走行中に折れてしまい、プロペラシャフトが脱落する恐れがあり、非常に危険です。
この最悪のケースの体験談を一つ、実際に体験されたお客様からの情報を元に簡単に紹介致します。
2トントラックの走行中に、突然あり得ない位の大きさの振動をしばらく感じたが、そう思った瞬間、爆発音と共に車が前のめりになって、車が逆立ちしたというケースです。
想像できますでしょうか。
実際に現場を見たわけでは無いですが、私が思うにこのケースだと、過積載によりミッションマウントへの負荷が異常に高くなり、マウントが千切れてプロペラシャフトのジョイントに負荷がかかり、ジョイントを破損。
高速回転するプロペラシャフトがそのままドリルの様に地面に突き刺さり、最大級の急ブレーキがかかった様な状態になり、車がつんのめって逆立ちした、という解釈です。
船で例えると、荷物を積んだ高速船舶に対して、高速運航中に何の前触れもなく突然イカリを下ろすとどうなるか。
と言えば想像し易いでしょうか。
考えるだけで恐ろしいですね。
ミッションマウントにへたりの症状が出た時の対処法
ミッションマウントの部品を交換してみましょう。
他の部品に比べてそこまで高額なパーツではないのでへたりの対処法としては一番手軽ではないでしょうか。
ミッションマウントの交換時期はどれくらい?
車種や使用方法、保管状況により大きく左右されるためおおよその目安です。
ゴム部品ですので早ければ5年程度で劣化が症状に出てくると言えるでしょう。
千切れている場合だと、振動がハンドルやドアにまで伝わってきていると思われますから、交換すればかなりの効果を体験できると思います。
千切れていなくても、10年もすればゴムは劣化が進行しているはずですので、この場合も交換すれば驚くほど乗り心地が改善したケースもありますよ。
また費用はかさみますが10年以上無交換の場合はミッションマウントと合わせてエンジンマウントも交換すると乗り心地が劇的に改善する場合がありますのでおすすめです。
乗り心地が気になる場合は最寄りの整備工場に相談してみると良いでしょう。
ミッションマウントの交換費用はいくら?
部品の値段は車種や年式により様々ですが、おおよそ部品代で1万円~3万円程度でしょう。
よって工賃も車種や年式により様々ですが3万円~6万円程度見ていれば大抵の国産乗用車であればカバーできると思われます。
まとめ
数種類のケースを参考にミッションマウントについて簡単な紹介をしましたが、参考になりましたでしょうか?
診てもらう整備工場にもよるでしょうが、車検や定期点検整備の際に同時に実施する場合が多いので、何の気無しに入庫して、急に交換が必要と言われるとびっくりしますし、予算の都合もありますよね。
そろそろ点検時期、車検時期の方は早めに整備工場に相談し、交換する場合は定期点検整備費用、車検費用にプラスして、ミッションマウント交換費用も用意できると良いですね。